【 側弯症 (そくわんしょう) 】

概要

背骨(脊柱)が、身体の横方向(側方)へ曲がった(弯曲した)状態のことを、「脊柱側弯症」と言います。

背骨のある部分が傷んで起こったり、背骨とは別の問題が影響していたり、その起こり方や原因をもとに、いくつかに分類されています。

背骨の曲がり具合が、自分の身体の許容範囲を超えてくると、背骨周囲や関連する脚などに痛みが起こりますし、神経が挟まれるようなところでは、痛みやしびれ、感覚異常(感じにくい、必要以上に感じるなど)、麻痺(力を入れようとしても入らない)など神経症状が出てきます。
また、姿勢が大幅に変わってしまうことで、内臓が押さえられたり引っ張られたりして、呼吸や胸苦しさ、食事のしにくさ、胃腸の異常、便通の異常、なども引き起こされることもあります。
背骨の歪みは全身の姿勢に大きく影響するので、頸の負担や肩、股関節、膝、足などにも偏った負担がかかり、そういった部分の異常の理由になることもあります。

側弯症の方は、日本では人口の2%程、100人に2人、1億2330万人の2%は246.6万人おられることになります。

病態と分類

少し難しい言葉も出てきますが、病態や分類について記載します。

機能的脊柱側弯症

背骨自体の形は正常のままで、背骨が横方向へ弯曲した状態の側弯症です。
原因が解決すれば、この機能的側弯症は解決ないし軽減します。

疼痛性側弯症

どこかに痛みがあり、そのせいで姿勢が変わってしまっている影響で起こるものです。

例). 腰が痛かったら、腰が曲がってしまうこともありますが、それに影響され、背骨の姿勢が変化している状態。

代償性側弯症

背骨以外に、姿勢が傾く理由があり、それを代償する(代わりの部分で補う)ために、背骨が曲がって姿勢のバランスを保っている状態です。

例). 何らかの理由で、脚の長さに左右差ができていたり、股関節などが拘縮(関節などが硬くなって動ける範囲が狭くなっている状態)していて、姿勢が保てないため、背骨を曲げて姿勢を調整している状態。

構築性脊柱側弯症

機能的側弯症に当てはまらず、自力では元に戻せない側弯のある状態です。

病院の検査では、その状態に加え、椎体(背骨の一つ一つの骨の軸の部分)が凸(飛び出ている方向)方向へ捻れていること、レントゲン上で椎体の楔状変形(椎体は円柱状ですが、一方が高く、その反対側の一方が低い形に変化している状態)があること、がそろうと診断がつきます。

立ち姿を後ろから見た時の特徴は、側弯の凸側では、背骨が盛り上がって、肩甲骨が後ろに出ています。
また、ウェストラインの対称性が崩れます。

成長期に発見され、成長期間中に進行していくことが多いと言われていますが、年齢関係なく変化する方もおられます。

原因は様々で、不明とされる場合もあります。

構築性脊柱側弯症の、原因による分類を挙げます。

特発性側弯症

耳にされたことがある病名かもしれません。
様々ありますが、原因不明と言われています。
側弯症の70-80%を占めると言われています。

発症年齢によっても分類されます。

乳幼児側弯症

3歳未満の乳幼児に発症したもの。自然に治る場合もあるが、急速に進行する場合もある。

若年性側弯症

3-10歳。男女で発症の差はない。左凸の胸椎側弯が多い。急速に進行する症例が多い。

思春期側弯症

11歳以上、思春期に発症するもの。
最も多い。
右凸の胸椎側弯の頻度が高い。
85%が女子。
思春期のなかで、年齢が若くして発症すると進行しやすい。
多くは成長完了とともに進行は停止するが、成人になってもわずかに進行することがある。
妊娠によって増悪することがある。

参考:特発性側弯症と代謝機能の関係性
  • 代謝: 生体内で生じる全ての化学変化とエネルギー変換のこと。
  • 基礎代謝: 食事や呼吸で得たものから、活動するためのエネルギーを得る基礎代謝。
  • 内分泌代謝: 種々の作用を持つ物質がうまく調和して全身の臓器に作用し、人間の生命を維持し、生体の恒常性( 正常な機能を維持する仕組み)や正常な代謝機能を保つのに必要な体の機構で、ホルモン分泌に関する代謝。

特発性側弯症の方は、研究は少ないが、何らかの代謝障害があると考えられている。必ずしもはっきりとした病状がみられるわけではないが、内分泌代謝機能の低下傾向が認められ、視床下部-下垂体系に代謝調節機能に何 らかの異常が推定されるようである。(詳しくはページ末の参考資料をご参考ください。)

代謝に着目した理由は、
・施術中の側湾症の方が橋本病から甲状腺機能低下症の薬を飲まれていた、
・私の施術の知見として、頭に、脳に、おそらく視床か視床下部のあたりに、身体の出す異常な信号が出ているという認識があった、
ことからです。
この方の施術を継続して進めていく中で、
身体の出す異常な信号として私が認識していた部分が、
初めのうちは背中や腰、頚だったものが、
ある時から頭になりました。
その経緯があり、側弯症と代謝のこと気になり調べると、関係性があることを示唆する論文が見つかりました。
特発性側弯症だから代謝の病気がある、
代謝の病気があるから特発性側湾症になる、
とは必ずしも言えませんが、
身体が何かしらを調節しようとする中で起こる関係性なのだと思います。

このように、私の施術対象である、身体のだす異常な信号と、西洋医学との所見の整合性がみて取れたと思われる状況でしたので、ここでご紹介させて頂きました。

治療をされる際のご参考になれば幸いです。

症候性側弯症

病状のせいで起こる側弯症です。

神経筋性側湾症

神経や筋の病気に伴って発生する。

代表的な原因となる病気:脳性麻痺、脊髄前核炎、脊髄空洞症、脊髄性筋萎縮症など。

麻痺などがあると、背骨の上下左右のバランスが調整がつかなくなって起こる。
進行が早いと言われ、成長期を過ぎても増悪すると言われている。

先天性側弯症

生まれ持っての背骨の変形(半椎、楔状椎、癒合椎、肋骨奇形など)で起こっている側弯症。

進行性であることが多い。
半椎と反対側の癒合椎がある場合は予後不良。

神経線維腫症側弯

レックリングハウゼン病という。

皮膚のカフェオレ斑、神経線維腫がある遺伝性の病気。
重度の側湾になることもある。

間葉性側弯症

間葉系細胞というものがあり、骨、軟骨、脂肪、筋肉、神経、リンパ管、内臓など、さまざまな細胞になることができる細胞を言います。

そこの異常が起こると、下記の方な病気が起こることがあると言われています。

代表的な原因となる病気:マルファン症候群、エーレスダンロス症候群 (どちらも遺伝子疾患)

病院で行われる一般的な治療の概要

側弯の角度が軽度な場合、経過をみながら様子を見るか、運動療法を行います。コルセットを併用することもあります。

側弯が進行し、レントゲンで測る角度(コブ角)が25度を超える場合は、装具をつけて、骨が成長する方向を矯正し、骨の成長が成熟して終了するまで行われます。

側弯の、コブ角が40度を超える場合は、背骨を固定する手術を検討します。
また、骨の成長が成熟している大人で側弯の角度がきつく、それが症状の悪化を招いている場合も同様です。

側弯の進行を止めるには装具療法が、側弯の曲がった状態で骨が出来上がってしまった姿勢自体を変える、また、それ以上進行しないようにするには手術で骨を固定するのが、病気自体の進行をとめる治療として有効な治療とされています。

ただし、側弯の完全な矯正は難しい状況があり、治療の目的は、可能な限り矯正すること、側弯していくことの進行を止めることが、主な目的となることが多いようです。

側弯の進行を防止するためには装具療法が、曲がった背骨の形を戻すには手術療法が、証拠のある治療として選択されています。

運動療法、マッサージ、整体、カイロ、鍼灸は、痛みを和らげることはできても、曲がっていく状況を変えることができず、原因治療にはならないというのが現在の医学一般では理解されています。

治療に対する私の考え

まずは、上記の内容を踏まえてお伝えします。

治療を考える時に私が大切にしているのは、
ご自身のつらさ、日常生活がどれだけ制限され困っているか、
と考えています。

背骨が曲がっていてもよほどの状態でなく、生活に差し障りがなければ様子をみるのも選択肢の一つと思います。

治療をお考えになる場合、一番は、原因が特定できる場合はその原因を治療することが、側弯の進行を止める最も有効な手立てとなります。

原因が不明で、気になる状況があり、治療をしたいとお考えになる場合、
思春期でも成人でも、進行状況に関わらず、
・根本的な治療に最も近いのが、装具等で矯正すること、
・根本的な治療から少し離れますが、運動療法や身体を鍛える体操などで、姿勢を調節しやすくし、身体を支える力を得て痛みなどをおこすような負担を減らす、こと、
・痛みなど症状があって困る場合は、一般的な、マッサージや徒手療法、鍼灸などで緩和する、こと、
などが、
具合や日常の支障を調節する選択肢として有効だと思われます。

また、弊院の鍼灸施術は、症状緩和だけでなく、身体が側弯しようとしている働き自体に関わる自然治癒が、きちんと働いてくれるようにするためのものですので、病院での矯正と併用してもらうことで治療効果を高めることができると考えています。

手術療法は、側弯がきつく、背骨の形を調節しなければ生活が難しい、大変な状況の方の、どうしてもの最終手段としての選択肢だと思っております。
手術は、背骨の上下ほとんどを金具で固定するものが主な方法になると思います。
そうすると、背骨が曲がっていたことの問題からは解放されますが、背骨を動かすことができないことからの不具合が生じる可能性があります。
寝起きや動き全てが一変すると言っても言い過ぎではないと思います。

ですので、手術が選択肢になる場合は、
本当に手術をした方が良いのかどうか、
手術をするとどうなるのか、何が良くなり、何が制限され、どう生活できるのか、
などを担当の医師の方とよくご相談され、
ご自身で納得できるかどうかをよくご検討されることをお勧めします。

手術をされた後は、日常生活に身体を馴染ませるため、身体の支える力をつけ背骨に負担をかけないようにするために、リハビリをされる場合もあると思います。

手術の傷を治癒させ、固定具などを馴染ませるるためには、自然治癒の働きが必須で、病院では、身体に任せているのがほとんどですので、
治りが良くない、馴染みにくい、などといった場合、弊院の鍼灸施術をして頂くと、術後の不調や痛みが軽減され、傷の治りや馴染み方がうまくいくことが期待できると考えています。

ご自身の状況と、どのような治療でどういった効果が期待ができるのか、を、よく調べてお考え頂き、
どのようにしていくか、あなたのご意向と生活のことを中心によくお考えになられ、
ご自身にとって、こうして良かった、と後から思えるような選択ができますことを願っています。

当記事が、選択肢を知る手立ての一つとなりましたら幸いです。

弊院の鍼灸施術で得られること

側湾症は原因がわかるものとわかりにくいものとありますが、どちらにしても、何かが影響して、身体が表現したものが、背骨の側湾となって現れているのだと思います。

身体は、何かの影響を受けた時、自然治癒が働いて調節しようとしています。

側弯することで身体が保たれている、もしくは、側弯しなければ、身体を保つことができない、という問題が発生している状況とも考えられます。

自然治癒がきちんと働いてくれるようになると、身体を保つために側弯させてきた理由が減ると考えられます。

ですので、弊院の鍼灸施術をされると、
側弯の角度が緩くなる方もおられ、伸びやすい、動きやすい、など、今の身体に合った動きが滑らかになり、痛みなどの症状は減ってきます。
ただし、定着してしまった姿勢や、形の変わってしまった骨や軟骨など、特に構造の変化がきつい場合、元の状態に戻るのは難しいく、必ずしもまっすぐになるわけではありませんが、動きの改善が期待でき、日常生活のつらさは少なくできる可能性があります。

身体の根本にある自然治癒の働きをきちんと発揮するために弊院の鍼灸施術を併用、もしくは受けて頂くことで、
より効果的な結果が得られると考えております。

弊院は、あなたのご意向と治療の選択肢を合わせて考えご相談した上で施術に臨みます。
お悩みのことがございましたらご相談ください。

文責:大場 健二

【はりきゅうおおば】京都市 中京区 二条駅近く の 鍼灸院
体調不良・病気・怪我を良くしたいとお考えのあなたへ


側弯症でお困りの方がより良い生活を得るための一助となりますようお祈りいたしております。


参考:


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