顔面神経麻痺 (facial nerve paralysis(palsy))

概要

顔の筋肉が動かなくなる病気です。

病状・症状

何らかの原因で顔面神経が障害され、顔面神経に支配される筋肉が動かなくなり、表情が作れなくなります。

(運動)麻痺とは、筋肉を動かそうと意識しても筋肉が動かせない状態のことを言います。

左右どちらか片方に起こることが多いです。
両側性に起こるものもあります。

麻痺している側(麻痺側)の筋肉は動かず、緩み、
麻痺していない側(正常側)に引っ張られるため、
表情が、正常側の方へ偏ってしまいます。

次に挙げる症状も、神経の障害の部位や度合い、麻痺の程度によって異なりますが、現れることがあります。

  • おでこのシワが出なくなることがあります。
      →(脳卒中や脳梗塞などで起こる麻痺(中枢性運動麻痺)では、おでこのシワは出たままです。)
  • 味覚がわからなくなることがあります。
  • 舌以外の感覚は正常にわかります。
  • 涙が出にくくなることがあります。
  • 唾液の出方が少なくなることがあります。
  • 音が耳に響く、響いて聞こえることがあります。

そのほか、神経の傷害のされ方(原因)によって、病名が変わったり、現れる症状に違いが出てきます。
詳細は【病態】以下の記事をご確認ください。

治療

治療の開始が、発症後、早ければ早いほど、治りやすいと言われています。
上記のような異常がある場合は、できるだけ急いで耳鼻咽喉科を受診されますことをお勧めします。
発症後、3日以内に治療を開始するのが望ましいです。

薬による治療が多く、主にステロイド薬が用いられます。
ラムゼイ・ハント症候群の場合は抗ウィルス薬も用いられます。

顔面神経麻痺全体において、おおよそ2割ほどの方で、後遺症が残ってしまうと言われています。

薬での治療期間が終了しても残ってしまう症状(後遺症)については、状態やご本人の希望に応じて、手術で形成する選択肢が提案されることが多いです。

病状の評価には、
柳原法という、表情筋の動きをパターン分けし、麻痺の程度を40点満点で評価する方法がよく用いられます。
(詳しくは、下記、【評価法】の項目をご覧ください。)

リハビリや鍼灸は、エビデンスは十分ではありませんが、
麻痺や後遺症の改善を目的に行われ、効果を期待できます。

弊院の鍼灸

弊院の鍼灸では、
病状の円滑な回復、回復しにくい状況を回復する方向性に向けること、
後遺症が残らないこと、
を期待して施術を行っています。
効果は、個人の状況により異なりますが、
弊院の鍼灸をする、と、しない、とでは、
して頂いた方が、
より回復しやすくなるという印象を持っています。

実際に施術を受けて頂いた方では、
後遺症が残らず、途中経過の症状も円滑に回復された方がおられます。

同門の鍼灸師の方からも、回復された方のご報告をお伺いしておりました。

詳しくは、記事の後半の【弊院の鍼灸】もご覧ください。

どこまで回復するかわからず不安で、
回復の可能性を高くしたいとお考えの方はご相談ください。

【病態】

顔面神経麻痺は、何らかの原因で、顔面神経が傷害された病態の総称です。

脳が傷害されて起こる、中枢性顔面神経麻痺と、
顔面神経が脳から外に出た部分が傷害されて起こる、末梢性顔面神経麻痺、
に分けられます。

顔面神経は、表情筋へ行く運動線維、
味覚線維、内臓遠心性分泌線維(副交感神経線維)を含むため、
顔面神経が傷害されると、運動麻痺、味覚障害、分泌異常(低下)が起こります。

原因 

原因:末梢・中枢、片惻・両側での分類

末梢性 片惻性 
  • 外傷・怪我・手術後
  • ベル麻痺 (Bell’s Palsy)
  • ラムゼイ・ハント症候群 (Ramsay Hunt Syndrome)
  • 腫瘍 (耳下腺腫瘍・小脳橋角部腫瘍)
  • 先天性 (生まれつきの理由で)
    など
両側性 
  • ギランバレー症候群 (Guillain-Barré Syndrome)
  • 感染症
  • サルコイドーシス
  • 糖尿病
  • 白血病
  • 外傷
    など
中枢性 片惻性
  • 脳血管障害
  • 脳腫瘍
    など
両側性
  • 多発性硬化症
  • 球麻痺・仮性球麻痺
  • パーキンソン病
    など

 

原因:疾患別

      顔面神経麻痺の原因 (顔面神経麻痺診療ガイドライン2023年版を参照し作成)
  分類 原因
末梢性

特発性

  • ベル麻痺 (Bell’s Palsy)
  • 反復・交代性麻痺
耳炎性
  • 急性中耳炎
  • 慢性中耳炎 (特に真珠腫性中耳炎)
  • 中耳結核
  • 壊死性外耳道炎
感染性 ウィルス性
  • ベル麻痺 (Bell’s Palsy) (単純疱疹ウィルス : 単純ヘルペスウィルス)
  • ラムゼイ・ハント症候群 (Ramsay Hunt Syndrome) (帯状疱疹) (水痘帯状疱疹ウィルス)
  • ポリオ (ポリオウィルス)
  • 伝染性単核球症 (Epstein-Barrウイルスなど)
  • 水痘 (水痘帯状疱疹ウィルス)
  • 流行性耳下腺炎 (おたふく風邪) (ムンプスウィルス)
  • 脳幹脳炎 (単純疱疹ウィルス : 単純ヘルペスウィルス、日本脳炎ウィルスなど)
  • 多発性神経炎 (さまざまなウィルス、細菌)
  • HIV感染症 (ヒト免疫不全ウィルス : HIV)
細菌性
  • 髄膜炎 (細菌、ウイルス、真菌など)
  • ハンセン病 (らい菌)
  • 破傷風 (破傷風菌)
  • ジフテリア (ジフテリア菌)
  • 梅毒 (梅毒トレポネーマ : 細菌)
  • ライム病 (Lyme Disease) (ボレリア : 細菌 :マダニ刺咬による)
外傷性
  • 側頭骨骨折
  • 顔面外傷
  • 周産期外傷

医原性

  • 小脳橋角部・内耳道内の手術
  • 中耳手術
  • 耳下腺手術
  • 顎下腺手術
腫瘍性
  • 小脳角部腫瘍
  • 顔面神経鞘腫
  • 中耳癌
  • 耳下腺腫瘍
  • 白血病
全身性
  • 糖尿病
  • サルコイドーシス (ヘールフォルト症候群 : Heerfordt Syndrome)
  • 重症筋無力症
  • 多発血管炎性肉芽腫症 (ウェゲナー肉芽腫症 : Wegener’s Granulomatosis)
  • 甲状腺機能低下症
  • 膠原病
神経疾患性
  • 多発性硬化症
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • ギラン・バレー症候群 (Guillain-Barré Syndrome)
  • フィッシャー症候群 (Fisher Syndrome)
  • 球麻痺
先天性
  • サリドマイド症
  • トリーチャー・コリンズ症候群 (Treacher-Collins Syndrome) (顔面下顎形成不全)
  • 口角下制筋形成不全
その他
  • メルカーソン・ローゼンタール症候群 (Melkersson-Rosenthal Syndrome)

中枢性

脳血管障害性
  • 脳出血
  • クモ膜下出血
  • 脳梗塞
  • ワレンベルグ症候群 (Wallenberg Syndrome) (延髄外側症候群症候群)
  • ミヤール・ギュブレル症候群 (Millard-Gubler Syndrome)
先天性
  • メビウス症候群 (Möbius Syndrome) (橋延髄形成不全)

疫学

毎年、約5万人の方、10万人あたり約50人が発症すると統計されています。

原因別の割合は、
ベル麻痺 (Bell’s Palsy) 約60~70%
ラムゼイ・ハント症候群 (Ramsay Hunt Syndrome) 約10~20%
外傷性・手術関連 約9%
その他 約10%
と統計されています。

顔面神経麻痺のほとんどが、末梢神経性の顔面神経麻痺(70~90%)で、
残りの10~30%は、外傷性・手術関連とその他となっています。
適切な初期治療を行うことで、約8割の方が回復され、
約2割の方に後遺症が残るとされています。

実際には、
すっきり元通りに治られる方もおられますが、
病院で、回復とされた方でも、少し顔の動きが以前通りではない、
ということはあるようです。

いずれにせよ、早期治療、発症後3日以内に治療を開始されることが回復するために効果的と言われています。

主な症状・病状

麻痺

顔の筋肉(表情筋)の運動麻痺(動かそうとしても動かせない状態)。

傷害部位によって、麻痺の部位が異なります。

(上記 原因の表 をご参照ください)

片側か、両側か、
の違いは、
顔面神経の障害部位が中枢か末梢か、
あるいは、
原因となる病気、
によって変わります。

部分的か、全体か、
は、
顔面神経の障害された部位と、
原因となる病気や傷害の程度
によって変わります。

顔の筋肉が全く動かせない状況を、顔面神経完全麻痺、
顔の筋肉が全く動かせないわけではないが動かせないところがある状態を、顔面神経不全麻痺、
と言います。

末梢神経性の顔面神経麻痺の場合、おでこ(額)のシワが作れません。
中枢神経性の顔面神経麻痺の場合、おでこ(額)にシワが作れます。

顔の感覚は、三叉神経が支配しているため、麻痺があっても、顔面神経だけの障害の場合、顔の知覚は障害されません。

味覚障害

舌の前2/3の味覚を鼓索神経が、軟口蓋の味覚を大錐体神経がつかさどり、どちらの神経も、顔面神経から伸びている枝のため、味覚障害が起こります。

涙の減少。その影響による眼の乾燥。

顔面神経の枝である、大錐体神経 (涙腺、鼻腺、口蓋腺へ行く節前性分泌線維)に影響を受け、涙の分泌が低下します。その結果として、眼が乾燥しやすくなり、ドライアイの様相となります。(筋肉の麻痺の影響で目が閉じにくくなることも、眼の乾燥に拍車をかけることになります。)

唾液の減少。

鼓索神経 (舌2/3に分布する味覚線維と、顎下線、舌下腺、種々の舌腺へ行く節前性分泌繊維)が、影響を受け、涙や唾液の分泌低下が起こります。しかし、最大の唾液腺は、耳下腺で、顎下線と舌下腺の唾液が減っても、口が渇くことを実感し、訴えるほどの影響はないようです。

音が響いて聞こえる。聴覚過敏。

顔面神経の枝である、アブミ骨筋神経 (中耳のアブミ骨筋の運動を支配する)が影響を受け、音の振動を受ける時の伝達に影響が出て、音が響いて聞こえる場合があります。

アブミ骨筋は、過大な音を感じた時に収縮して、耳小骨の動きを止め、大きな振動が内耳に伝わるのを止める役割を持っています。

アブミ骨筋が麻痺の影響を受けることで、大きな音を調節できず、音が響いて聞こえるようになります。

(余談ですが、アブミ骨筋は、筋膜に覆われていて単独で大きさを比較できる筋肉としては、体の中で最も小さい筋肉と言われています。)

後遺症

顔面神経麻痺発症後、数週間~3ヶ月以降に発症し、1年間進行すると言われています。

神経や筋肉、関節などが、再生・回復するとともに変化を生じて起こる症状や、麻痺が残ることによる機能異常です。

動かそうと思ったところと違うところが同時に勝手に動いてしまう (病的共同運動)。

口を動かした時に目が閉じる、目を閉じる時に頬がひきつれる、など様々です。

顔面神経の、障害により受けた損傷から神経が再生していく時に、神経の経路が、通常とは違う経路に繋がってしまい起こると考えられています。例えば、口を動かす指令を出す神経が、瞼を動かす神経につながってしまった。

顔がこわばる (顔面拘縮)。

顔面神経が損傷から再生・回復する際に、神経線維がこれまでとは異なる状況にある中で、顔の筋肉を動かそうとした時など、神経に信号が伝達される状況になると、脳幹にある顔面神経の神経核が興奮状態となり、筋肉を緊張させる信号が出され、過剰に表情筋が緊張してしまい、こわばりが続いてしまう状況と考えられています。

拘縮とは、本来、関節が固まってしまい動かせなくなった状態のことを言いますが、広義では、固くなる状況のことにも使われます。

筋肉が硬くなることを強直と言いますが、ここでは、拘縮という言葉が当てられています。

顔がピクピクする (痙攣)。

顔面神経の、障害により受けた損傷から神経が再生していく際に起こる神経過誤支配と、顔面神経の異常な興奮により、神経に普通とは異なる信号が紛れ、動かそうとしていない筋肉が動いてしまい、自分で動かそうとしていない筋肉に収縮が、勝手に起こってしまうと考えれれています。

食事をする時に涙が出る (ワニの涙症候群)。

顔面神経の、障害により受けた損傷から神経が再生していく時に、唾液腺につながる神経が、涙腺にもつながってしまうことによって起こると考えられています。

この神経線維は副交感神経が含まれていて、食事の時、反射的に唾液腺に刺激がいき、唾液が出る働きが起こりますが、同時に涙腺にも刺激がいき、同様に、反射的に涙が出てしまう状況と考えられています。

耳鳴りがする (アブミ骨筋性耳鳴)。

顔面神経の、障害により受けた損傷から神経が再生していく際に誤った経路につながってしまう状況で、顔面神経から枝分かれするアブミ骨筋神経に誤った信号が流れる経路ができた場合、いずれかの表情筋を動かした際に、耳鳴りが起こると考えられています。

評価法

柳原法

40点法、とも言われます。

  1. 安静時
  2. 額のしわ寄せ
  3. 軽い閉眼
  4. 強閉眼
  5. 片目つぶり
  6. 鼻翼を動かす
  7. 頬をふくらます
  8. 口笛
  9. イーと歯を見せる
  10. 口をへの字に曲げる

この、安静時と、安静時の左右対称性と顔面神経の各分枝を考慮した9種の表情運動において、
それぞれ、「ほぼ正常 (4点)」、 「部分麻痺 (2点)」、「高度麻痺 (0点)」、 の3段階で評価します。

40点満点で、
10点以上を不全麻痺、
8点以下を完全麻痺、
あるいは、
20点以上を軽症、
18~10点を中等症、
8点以下を重症、
とします。

36点以上で、中等度以上の病的共同運動のないものを治癒と判定する、
とされています。

評価の簡便さと、 特別な機器なしに実施できる利便性から、日本では広く認知され利用されています。

罹患頻度の多い顔面神経麻痺について

ベル麻痺 (末梢性顔面神経麻痺)

顔面神経麻痺の中で、最も頻度が高く、全体の60~70%を占め、
毎年、10万人あたり20~40人の方が罹り、
50代女性の発症頻度が最も高いとされる病気です。

前駆症状なしに、急に発症します。
数日~10日間ほど進行し、その後徐々に回復します。
顔面神経麻痺以外に、主だった症状や所見を伴わないと言われています。

単純疱疹ウィルス (単純ヘルペスウィルス)が関与、もしくは、原因不明で起こるものを指します。

かつては、特発性顔面神経麻痺と呼ばれていました (特発性とは原因不明のものという意味です)。

ラムゼイ・ハント症候群は、水痘帯状疱疹ウィルスが原因するものですが、
難聴やめまい、耳介水疱・発赤を伴わない無疱疹性帯状疱疹の場合もあり、
臨床的には、ベル麻痺として扱われることも多いようです。

自然治癒率は約70%、早期ステロイド治療をすることで約95%の治癒率と言われています。

症状は、上記、症状・病状をご参照ください。

ラムゼイ・ハント症候群 (末梢性顔面神経麻痺)

顔面神経麻痺の中で2番目に頻度が高く、全体の10~20%を占めます。

10万人あたり約5人の方が罹ると言われています。

水痘帯状疱疹ウィルスが原因する顔面神経麻痺です。これがベル麻痺との違いです。

ウィルスが活動する時に顔面神経を傷つける原因となり発症します。

ラムゼイ・ハント症候群に特徴的な症状は、
肩こり・後頭部痛・耳の辺りの痛み(←これらは前駆症状としても起こる)、
耳鳴り、難聴、めまい、耳介の帯状疱疹などが挙げられています。
しかし、必ず現れるわけではないので、症状だけでベル麻痺と鑑別するのは難しいです。
そのほかの症状は、他の顔面神経麻痺と同じです。

ベル麻痺は比較的治癒しやすいですが、
ラムゼイ・ハント症候群の治癒率は低く、
自然治癒率は30%、早期治療をしても60%、と言われています。

水痘帯状疱疹ウィルスは、水痘(みずほうそう)を発症するウィウルスで、
一度発症すると生涯、神経の中に潜むウィウルスです。
みずぼうそうを経験した方は、その時に免疫を獲得しますが、
免疫の働きが低下する等の時に、帯状疱疹が発症すると言われています。

ラムゼイ・ハント症候群は、帯状疱疹により起こる顔面神経麻痺で、
一度発症すると、水痘帯状疱疹ウィルスに対する免疫が改めて強化されるので、
再発する可能性は低いとされています。

症状は、上記、症状・病状をご参照ください。

外傷性顔面神経麻痺

ベル麻痺、ラムゼイ・ハント症候群に次いで多い疾患です。

原因は、交通事故や転落事故、労働災害、けんか、スポーツなどで、
顔面神経が直接傷害されたり、
頭部外傷による側頭骨骨折から発症します。

頭部の外傷の一部として、また、
頭部外傷により起こった病状の一つとして、
状態の把握と治療が行われます。

受傷直後から起こる即発性麻痺と、
受傷後24時間以上経過してから起こる遅発性麻痺に分けられます。

即発性神経麻痺は、顔面神経が直接損傷を受けて起こるため、高度麻痺となりやすく、

遅発性麻痺は、受傷後、顔面神経管内で、出血や浮腫などが起こり、間接的に顔面神経を障害するため、
即発性麻痺より経過は良好な場合が多いと言われています。

しかし、怪我や損傷の状況によって、麻痺の程度に違いがでます。

治癒率は約50%と言われています。
ベル麻痺やラムゼイ・ハント症候群より低いとされています。

症状は、上記、症状・病状をご参照ください。

治療

発症から3日以内に治療を始めることが強く推奨されています。

自然治癒もしますが、治療をした方が明らかに成績が良く、後遺症が残る可能性も減ります。

早期治療が必要な理由は、
時間と共に、長期間経ってしまうと神経の再生が止まってしまうため、
また、神経の炎症や障害などで、時間と共に神経自体の損傷が大きくなってしまうため、
神経が正しい方向に回復するため(過誤再生などの後遺症を防ぐ)など、
が挙げられます。

基本的にはステロイド薬治療が選択されます。
ラムゼイ・ハント症候群の場合、抗ウィルス薬も処方されます。
外傷性または手術後の場合、神経の損傷に対する治療の後、ステロイド薬治療が行われます。
その他の場合、原因となっている病状に合わせて治療が行われます。

薬の効果が薄い、
もしくは、物理的に顔面神経の圧迫などが顕著な場合、
顔面神経が圧迫されない状況にするための手術療法も行われます。

後遺症に対しては、
リハビリやボトックス注射、形成外科的な手術などを選択肢として勧められることが多いです。

リハビリは、麻痺や病的共同運動の軽減を目的にして、
筋肉の緊張の調節や神経からの伝達が円滑になるように、
神経の信号伝達と筋肉の働きを再教育するための施術が行われます。

ボトックス注射は、
A型ボツリヌス菌が産生するたんぱく質のボツリヌストキシンという毒素を注射し、
筋肉を動かす神経の働きを抑えることで、
筋肉のこわばり(顔面拘縮)や病的共同運動など、
筋肉の緊張が強くなっている後遺症に効果的と言われています。

顔面神経麻痺の治療は、

ステロイドや抗ウィルス薬による薬物治療
(薬物が効かず、検査で回復が難しいと考えられる場合は、手術療法)

リハビリテーション
(治療が円滑に進むように、後遺症が残らないように、また、後遺症を軽減させたり回復させたりするために)
変化が見られにくい場合にはボトックス注射も選択肢となる

後遺症が残る場合は、後遺症に対する手術療法

という流れで組まれることが多いです。

リハビリについては、医学的なエビデンスとしては、十分な状況ではないことが示唆されていますが、
薬物治療の後は、積極的にリハビリを進められると思います。
エビデンスとして推奨されていなくても、後遺症が現状よりも良くなる可能性が高くなるためです。

私は、
第一選択となることが多い薬物治療は有効であるという印象を持っています。
手術療法やボトックス注射は、状況によって適応が違うことがあり、主治医とよく相談されることが重要だと思います。
リハビリは、回復しやすくなることが考えられるのでする価値はあることだと考えています。

それら以外では、鍼灸も有効だと考えています。
リハビリ同様、エビデンスとしては有効性は立証されていませんが、
回復する可能性が高くなるという理解でいます。

鍼灸もリハビリも、エビデンスとなる論文の不足も影響していると思いますが、

現状でている論文を確認しますと、
全体においては有効性があるとは言えない印象ですが、鍼灸を受けることで、より改善しやすくなっている方がおられるという印象を持つようになりました。

弊院の鍼灸

また、弊院では、
発症後、翌日すぐに耳鼻科に行き、ラムゼイハント症候群と診断され、
病院での治療と、弊院の鍼灸施術を併用され、
順調に回復されていかれた方がおられます。

回復されるまでの間、
弊院の施術直後には、
表情筋の動きが、自覚できる程度で少し改善し、
こわばった感じもその場で和らぎました。

初めの12日間は、ほぼ毎日施術を行い、
味覚も回復し、口に含んだ水も漏れなくなり、口や頬のこわばりが減っていき、
表情筋の動く幅が、日毎に良くなっておられ、
12日間で80%ほど回復している、
その後、鍼灸施術は1〜2週間に1度受けられ、
発症後40日ほどで、柳原法で満点、
と主治医に言われるようになりました。

満点が出ても、その後、耳や頬、鼻のあたりの違和感がありましたが、
施術を継続する中で減りつつあります。

同門の先輩方からも、数例、施術を受けにこられた方はほとんど改善されておられるとのお話を伺っています。

私は、リハビリ同様、顔面神経麻痺の治療の一環に、弊院の鍼灸を取り入れて頂くことで、
回復する可能性や、回復度合いの向上が期待できると考えています。

顔面神経麻痺でお困りの方、
治るかどうか不安な方、
しっかり治したいとお考えの方は、
是非ご相談ください。

状況と何を選択していくべきかも考えた上で、
しっかりと施術をし、お力になれますよう尽力いたします。

大場 健二 拝

参考文献・ウェブサイト


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